barに着いた。
昨日とは違う意味でドキドキしながらドアを開ける。
まだ早い時間だからか、お客さんは誰もいなかった。
いるのは昨日のマスター一人。
おいらが軽く会釈するとマスターも笑顔で会釈してくれた。
「おー…すごい。Barだ。」
美咲ちゃんは当たり前の感想を漏らすと店の中を見回した。
カウンターに着く。
メニューが二つ出される。
美咲ちゃんは速攻メニューを開くと目を輝かせた。
「うわ~…すごい。たくさんある。」
それを見ながらおいらもメニューに目を通す。
さて、どうするかな…
「あ、好きなの頼んでいいよ。でも5000円以上のは止めてね(笑)」
半分冗談で、半分本気。
こんなかわいい子なら5000円でも10000円でも出しちゃう!(笑)
「じゃあ、タリスカー10年をロックでください。」
美咲ちゃんは手慣れた様子でマスターに注文する。
た、たりすかあ?
あ、メニューにある。
タリスカー10年。900円。(ちょっとほっとした)
ウイスキーにはまっているというだけあって色々知ってるんだな。
…あ、おいら頼まないと。
え~っと…気取らず素直に店員に聞く、と。
「すいません、昨日飲んだマッカラン、美味しかったんですけど、同じものではなくて似たようなので何かありますか?」
とーきち、かいしんのいちげき!
…我ながら完璧なオーダーだ。(笑)
「はい、では少々お値段は上がりますが、山崎12年か竹鶴18年あたりはいかがでしょうか。」
お、山崎なら聞いたことあるぞ。1400円。
あとは竹鶴18年。1800円。
年数が古くて高い方が美味いのかな…よし、ここは見栄を張って竹鶴とやらを頼むかな。
「じゃあ竹鶴で。」
おいらが頼むと美咲ちゃんはただでさえ大きな目をさらに大きくして
「おー…おじさん頼み方が大人~。しかも竹鶴なんていいの頼むね~」
そうなの?やっぱいいウイスキーなの?(笑)
とりあえずマスターのおかげでおいらの株は急上昇したみたいっスな。
マスターに感謝。
マスターはちらっとこっちを見て、表情こそ変えなかったけど目で
「ばっちりですね」
と言っているような気がした。
それぞれのウイスキーが揃ったところで乾杯。
まず美咲ちゃんがタリスカーを飲む。
こんな若い子がウイスキーを飲むんすね…
時代は変わったなあ…
おいらが若いころなんてウイスキーはオッサン以外飲まなかった記憶が。
「うわ~美味しい!」
目を真ん丸にさせて美咲ちゃん。
っそれは良かったっす。
900円でこんなに喜んでもらえるなら安いもんっす。
…いちいち値段が気になるのは性格だから許してください。(笑)
この感じなら1万円あればなんとかおさまりそうっすな。
おいら心の中で安堵。(笑)
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===== 続く =====
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